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第89回定期演奏会|名古屋シンフォニア管弦楽団

2026年8月2日

豊田市コンサートホール

指揮:藏野 雅彦

ブラームス

 大学祝典序曲

ドヴォルジャーク

 交響詩「金の紡ぎ車」

ベートーヴェン

 交響曲第7番

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今回の定期演奏会は、県内屈指の音響の良さと壮麗さを誇る豊田市コンサートホールにて開催し、王道の作曲家たちによる親しみやすい作品をお届けします。

「大学祝典序曲」はブラームスが4つの学生歌を織り込んで作った華やかな名曲であり、ラジオの大学受験講座でその一節を耳にされていた方もいるでしょう。

続くドヴォルザークの交響詩は、王子様に見初められたヒロインを貶めた継母の悪事を「金の紡ぎ車」が語り出す…というホラーめいたお話を音楽で表したドラマチックな作品です。美しい場面も多く、ハッピーエンドなのでご安心ください。

そしてメインプログラムは、ベートーヴェンの交響曲の中でも人気の高い第7番(通称「ベト7」)。「のだめカンタービレ」ですっかり有名となりました。楽章ごとに設けられたリズムパターンを終始強調することによって常に前に進む力が生まれ、特にクライマックスにかけての圧倒的な高揚で、聴く人には心弾むワクワク感を、奏者には疲労感(?)をもたらします。ぜひ我々の奮闘する姿もご覧ください。
豊田市コンサートホールは駅前でアクセスも良く、駐車場の無料サービスもあります。クラシック音楽にあまり馴染みのない方にも楽しんでいただければ幸いです。皆様のお越しを心よりお待ちしています。


■指揮 藏野 雅彦 Masahiko Kurano
1979年東京藝術大学卒業。トランペット奏者として活動後、1987年指揮者としてのキャリアを開始。1992年ウクライナ国立交響楽団より招聘されマーラー/交響曲第1番を指揮、京都市交響楽団演奏会でオネゲル作品等を指揮しプロデビューする。2002年文化庁派遣芸術家在外研修員としてグラーツ芸術大学に留学、M.ジークハルト氏に師事、グラーツ歌劇場でF.ジョルダン氏よりオペラ指揮法を学ぶ。2004年ロシア国立ノヴォシビルスク・アカデミー交響楽団より招待され、マーラー、R.シュトラウス作品を指揮。2006年兵庫芸術文化センター開館事業で中西覚氏作曲オペラ「おさん茂兵衛丹波歌暦」を指揮。2008年高昌帥氏作「あなたに、より」初演指揮。2010年平野一郎氏作曲「八幡縁起」、2016年同氏作曲「八幡大縁起」初演指揮。いずれの公演も成功を収めた。現在までにキーウ・シェフチェンコ国立歌劇場管弦楽団、ロシア・マリエル国立歌劇場、大阪交響楽団、京都フィルハーモニー室内合奏団、Osaka Shion Wind Orchestra、PAC管弦楽団など多くの楽団を指揮し好評を博す。
第13回京都芸術祭京都府知事賞受賞。指揮を小泉和裕、田中良和、故伊吹新一の各氏に師事。現在、京都教育大学講師、青山音楽財団理事および未来構想委員。

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<当日のプログラムより>

ブラームス 大学祝典序曲

この作品はブラームスが47歳の時に、ブレスラウ大学から名誉博士号を贈られた際に御礼として作った曲です。祝典なのに短調で暗く始まります。異例です。その解釈は、たとえば遠くから聞こえる学生たちの行進の足音だったり、厳かな儀式の雰囲気だったりとさまざまですが、我らがマエストロ藏野先生の解釈は、年老いたブラームスが考えに耽りながらつぶやく姿、です。その姿を想像すると、ため息交じりのブラームスの独り言が聞こえてきそうです。そして、徐々に若いころを思い出して想像の世界に入っていくブラームス。

ブラームスの心に浮かぶ若き日の思い出は、ドイツの伝統的な学生歌のメロディーののって羽ばたきます。1曲目『ぼくらは立派な校舎を建てた』をトランペットが気高く、2曲目『国家の父に忠誠を誓う』をセカンドヴァイオリンがのびやかに、3曲目『キツネ(=新入生)狩りの歌』をファゴットがコミカルに、そして4曲目『愉快にやろうじゃないか』をオケ全体で力強く演奏して、ブラームスのひとときの夢は幕を閉じます。

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ドヴォルジャーク 交響詩『金の紡ぎ車』

森の中の小屋で継母たちと暮らしていた素朴な女性ドルニチカは、狩りに来ていた若い王に水を差し出したことから見初められ求婚されます。しかし、城に向かう途中で、なんと継母とその娘により命を絶たれてしまうのです(その方法が怖すぎてここでは書けません…)。継母は実の娘を偽りの妃とすることに成功しますが、そこで森の魔法使いが登場。あれこれと手を尽くしてドルニチカの体をよみがえらせ、王には「金の紡ぎ車」を贈ります。偽りの妃が王に命じられて糸を紡ぐと、紡ぎ車は継母たちの悪事を小声で歌い上げるではありませんか。急ぎ森に赴いた王はドルニチカと再会し、彼女を最高の妻に迎えます(その後、継母とその娘は森の中でなんと狼に…これも怖いので省略)。めでたしめでたし。

ボヘミア(現チェコ共和国の西部地方)出身のドヴォルジャークは、アメリカでの活躍後54歳のとき、同郷の詩人エルベンが書いた上記のあらすじの詩をもとにこの交響詩を作りました。交響詩とは、文学などの内容を表現した管弦楽曲をいい、奏者は情景を想像しながら演奏します。たとえば、冒頭は王が馬で森を駆けている様子。ヴァイオリン(コンサートマスター)のソロはドルニチカの美しさを表します。緊張を伴う悪事の場面を経て、魔法使いの慈悲を思わせるコラールと、蘇生の魔術のようなミステリアスな響きが何度か繰り返されます。そして愛に満ちたクライマックスへ!好きすぎて泣く。

ストーリーが強烈なわりに曲に暗さは少なく、生き生きとした旋律や、少し田舎っぽさを感じる素朴な響きなど、ドヴォルジャークの魅力が詰まった純粋な音楽としても楽しむことができます。演奏機会の少ない曲ですが(ストーリーのせい?)、この貴重な機会に心の赴くまま楽しんでいただければ幸いです。

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ベートーヴェン 交響曲 第7番 イ長調

最近2名のオーボエ奏者のインタビュー記事を読む機会があった。二人とも「オーボエを始めたきっかけは?」の問いに、「のどめカンタービレの黒木君に憧れて♡」と答えていた。

そう、この交響曲第7番は、『のだめカンタービレ』で一躍有名になったと言っても過言ではない、きっと一度は耳にしたことのある「あの」フレーズのある曲である。(最近では、某年末の大きなくじのCMでも使われているので、聴けば「あ!これか!」となるはず。)この曲の冒頭で件の黒木君が高らかに最初のメロディーを歌い上げるので、オーボエ奏者にとっては一度は演奏してみたい曲なのである。(ちなみに筆者もその一人である。)

この曲を作曲した頃のベートーヴェンは耳がほぼ聞こえておらず、苦悩に満ちた人生の途中であったが、そんな中でも恋をしていた時期の作品で、希望や喜びの感じられる明るい楽曲である。「ジャジャジャジャーン」で有名な第5番や、ドイツの自然の風景を交響曲で表現した第6番『田園』での新たな試みを経て、古典の初歩に返りつつも、より円熟した内容が盛り込まれた名曲である。

  • 第1楽章 ポコ・ソステヌート - ヴィヴァーチェ イ長調 序奏+ソナタ形式。ゆったりとした長めの序奏の後、8分の6拍子で軽快な曲が展開されます。ターンタタン(♪ ♩. ♪)のリズムが基本となって曲が進んでいく。 (「あの」メロディーはこの部分で出てきます!ソロでぴったり、大勢で華やかだったりと、いろんなパターンで何度も出てくるので違いをお楽しみください。)

  • 第2楽章 アレグレット イ短調 三部形式。4分の2拍子で、テーテッテッ テーテー(♩ ♩. ♪ ♩)のリズムの落ち着いたメロディが繰り返されます。途中明るい部分を挟んで、再び同じメロディーが細かいフーガの旋律と同時に奏されて盛り上がり、最初と同じ音に戻って静かに終わります。 (短調ではあるがたびたび顔をのぞかせる一瞬の明るい旋律に、思い人の言動に一喜一憂し揺れ動く恋心を感じる…。)

  • 第3楽章 スケルツォ ヘ長調 とても速い4分の3拍子、ロンド形式。軽快で明るいAメロと、ちょっとゆったりとして滑らかなBメロが、Aメロ、Bメロ、Aメロ、Bメロ…と何度も繰り返されます。本当に何度も。 (「またこのメロディーが…しつこい人は嫌われますよ…」と思っていたら、急に終わる。何か思いついたの? ベートーヴェン!?)

  • 第4楽章 アレグロ・コン・ブリオ イ長調 4分の2拍子の速い楽章。ソナタ形式。コン・ブリオ(元気よく)の表記の通り、ウンタカタン(♪ ♩. ♪)がたくさん出てくる元気のよい楽章。(そして、終楽章にして、速い!強い!高い!の続く奏者泣かせの楽章でもある。( ; ∀ ; )) しかし、明るく、軽快なメロディーの数々にテンションを上げて演奏せずにはいられない。(惜しいよ、ベートーヴェン!)

作曲家として円熟したベートーヴェンの「やっぱ天才だ!偏屈おやじだったけど、葬儀に2万人も集まるほど愛されるのも納得の作曲家だ!」と思わせる珠玉の名曲を奏者とともにお楽しみください。

~ さて、楽しい音楽の時間ですヨ ~

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団員のつぶやき ~セカンドヴァイオリン編~

今回の演奏会は楽器の配置がいつもと違うことにお気付きでしょうか?今回、弦楽器は舞台向かって左から、ファーストヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、セカンドヴァイオリンの順に並び、コントラバスはチェロの後ろ、ハープは右側に配置されています。管楽器はホルンが右側に移動しています。この形態は、ファーストヴァイオリンとセカンドヴァイオリンが向き合うことから「対向配置」と呼ばれます。楽器の配置は演奏会ごとに指揮者が決定します。ファーストヴァイオリンの隣で寄り添って演奏することが多いセカンドヴァイオリンにとって今回の配置は大事件!とも言えます。(実際にはこれまで何度か経験していますが。)

そこで、教えて! 藏野先生! 何故対向配置ですか!?

― 1750年から1950年の間、ヨーロッパ(アメリカも)の主要オーケストラの配置は間違いなくヴァイオリンが左右に分かれた対向配置でした。この200年間、つまり、古典派の作曲家から近代の作曲家まで、彼らの頭には対向配置のオーケストラがあり、その効果を考えて作曲がなされていました。ハイドン、ブラームス、マーラーなどのスコアには明らかにこの配置を意識して作曲されたと思われる箇所が多数に出てきます。現在よく見られる配置が主流となったのは、第2次大戦以降の音楽シーンで、録音がよりやりやすい、アンサンブルが容易といった理由によるものでした。

音色的な観点から言えば、自分は「対向配置での音が最も美しい」と感じています。対向でない従来の配置の場合、ヴァイオリンの奏するメロディが常に下手(舞台向かって左)側から聞こえることに違和感を持ってきました。客席全体に、メロディ、ハーモニーができるだけ均一に供給されるべきと思うのです。対向配置は指揮に関してはむしろやりにくいのですが、作曲家の意図を反映しやすいのとともにオケ全体のサウンドがブレンドしやすくなります。―

なるほど、対向配置にはそうした歴史と効果があったのですね。いつも華やかなファーストヴァイオリンに隠れがちな地味な印象のセカンドヴァイオリンですが、今回は特に堂々と胸を張って演奏したいと思います。他にも、左から低音を聞かせるコントラバスなど、注目ポイントは多くあります。全員で作り上げるハーモニーがこのホールいっぱいに響きますように。

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